寒い時期の仕込みも終わり、鑑評会もすべての結果が出て、この時期の蔵元は割合暇な時期に入ります。 とは言っても全然仕事をしない訳ではありません。 今回は「夏の蔵元は一体何してるの?」という疑問にお答えしましょう。 英君のような地方の小さな蔵元は、冬の寒い間にお酒を仕込んだら、一年間かけてそれを出荷します。仕込み期間は約4ヶ月間だけであとの8ヶ月間は、そのお酒の貯蔵管理と出荷に費やします。 管理は基本的に温度管理が主になります。外気温が高い夏などは、貯蔵したお酒の温度が上がらないよう、冷蔵庫内に保管し、品質の劣化に注意します。 その他、火入れ(熱殺菌)がキチンと出来たかどうか、タンクの飲み口からお酒を少し抜いて色艶などを調べます。もし、この時点でお酒が白濁していたり、香りが変になっていれば、そのタンクのお酒はもう一度ろ過火入れを行い、殺菌し直します。 お酒を造る上で一番天敵なのが「乳酸菌」、これは空気中にもウヨウヨいるし、ヨーグルトや納豆の中にも生きています。「乳酸菌」は酵母よりも繁殖が早いため、一度火入れしたお酒に混入したり、また火入れが不十分であったりすると確実にお酒の中で繁殖し、お酒を濁らせたり、酸っぱくしたりします。 だから蔵内の貯蔵庫に行く時、及び仕込み期間中は蔵元は納豆やヨーグルトは一切食べません。(そうでなくても専務は納豆苦手) 皆さんも買ってきたお酒の封を切って放っておいたら数日後に濁ってしまったという経験はありませんか?そうなったら毒になることはありませんが、確実に風味が劣化しています。 気を付けましょう。冷暗所に保存していただくことをお勧めします。 またもうひとつ夏場の大事な仕事があります。それはお客さんとのコミュニケーション。この時期熱心な小売店さんが「酒の会」等を開催します。英君も呼ばれたら可能な限り出席し、お客さんとの会話をするようにしています。お客さんの生の声が聞けるのはなかなかチャンスがないので、こういった機会をとても重要に考えています。 どういった酒質や価格のお酒が求められているのか?蔵元のひとりよがりなお酒もいかにも頑固で良いですが、お客さんの声にも耳を傾ける事も大事であると思います。 ただ没個性の呑み飽きしない的な酒造りはしたくありません。蔵元として主張しながら飲み手に受け入れられる酒造りを目指したいと思います。 今回は夏場の蔵元のお話でした。 |
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